今号は年末恒例企画「THE BEST MANGA このマンガを読め!」です。
2004年の年末に「このマンガを読め!」というムック形式で始めたので、これで年刊のコミックガイドとしては10冊目ということになります。(2011年版から「フリースタイル」の特集形式になりました)
この企画を僕が思いついたとき、三人の方に相談しました。
呉智英氏、いしかわじゅん氏、夏目房之介氏です。
呉氏といしかわ氏は「たぶん売れないけど、やる意味はある」と背中を押してくれて、企画は動き出しました。
やるにしても、マンガのベスト本を作るのであれば、どうしてもコマの掲載は必須です。文字だけだと、なにか間の抜けたものになります。ただし、出版社に許諾をお願いするかたちになると、金額はもとより、許可が下りないことだってあります。
それを助けてくれたのが夏目氏です。夏目氏は数々のマンガ研究・評論のなかでマンガのコマを使用(引用)するのに、出版社の許可はいらないという前例を作り、裁判でも勝っていました。(長くなるし、興味のない人も多いでしょうから端折りますが、コマの使用において、出版社との闘いというか、そういう歴史が随分長くありました)
たぶん夏目氏がいなければ、ウチはもちろん、他社においても、「マンガのベストもの」という企画は成立しなかったと思います。
10冊目というくぎりでもあり、 改めて夏目氏には感謝の言葉を述べたいと思います。
まあ、この企画の唯一の失敗だと思っていまでも後悔しているのは、「このマンガがすごい!」と付けなかったことですね(笑)。
まだ宝島社は出してなかったし、商標的にも充分可能だったと思うのですが、遠慮したわけです 。
振り返ってみて、映画やミステリと違い、マンガのガイドものというのは、レギュレーションというものがなかなか難しく、長年やっていただいている筆者まかせになってしまっていますが(もちろん筆者を選ぶのはこちらですが)、来年はもう少し明文化したレギュレーションにしたいと思います。
それはともかく、今年の「このマンガを読め!」のベスト10もなかなか面白いものになったと思いますので、どうぞ発売を楽しみにしていてください。
各人のベスト10も是非楽しんでいただければと思います。(ホントはこっちが一番の「売り」のような気もしますが)
どうぞお近くの書店や、ネット書店でご注文をいただけますようお願い申し上げます。
「フリースタイル25」・目次
特集
THE BEST MANGA 2014
このマンガを読め!
●BEST10作品紹介
●まだまだ傑作揃い!18位まで
●BEST作品総評
南信長+ヤマダトモコ+斎藤宣彦
●マンガ時事放談
(呉智英+いしかわじゅん+村上知彦+中野晴行)
My All Time Best
喜国雅彦
青木俊直
上條淳士
真造圭伍
●マンガの事件簿 2014
●2013年各賞受賞
●ジュンク堂書店池袋本店売上BEST50 ●ベスト作品書名索引
全アンケート回答
(ベスト10+コメント)
呉智英/中条省平/竹内オサム/小野耕世/長谷見賢一/おしぐちたかし/尾川健/斎藤宣彦/横井周子/鈴木繁/秋田孝宏/吉村和真/二村ヒトシ/大西祥平/三木雄太/漫棚通信/太田和成/南信長/川崎ぶら/表智之/高狩高志/ササキバラ・ゴウ/石田充/奥田鉄人/飯田耕一郎/田中香織/川原和子/枡野浩一/藤田尚/山脇麻生/伊藤剛/堂前茜/岩橋淳/夏目房之介/遠藤諭/多治見武昭/イトウユウ/南陀楼綾繁/松永良平/吉田豪/中野晴行/ヤマダトモコ/?田アミ/井上則人/いしかわじゅん/笹本純/藤本由香里/村上知彦/鈴木ダイスケ/吉田保
The Talk of The Town
宇田智子
小さな冊子
森敬太
かつしかを描く人 かく語りき
舘浦あざらし
すずらん通りで泣きそうになった話
多田洋一
快適で寂しい、テレビのない生活
小嶋あずさ
父、心の欲するところに従って
桃源郷の向こう
亀和田武
一九六八年の立ち食いそば屋襲撃
One, Two, Three!
中条省平/森卓也/飯沢耕太郎/米光一成/大西祥平/矢内賢二/松浦正人/藤津亮太/山田宏一/加茂啓太郎/白石朗/小沼純一/佐久間文子/尾上そら/とみさわ昭仁/枡野浩一/松永良平/南陀楼綾繁/窪木淳子/仲俣暁生/南信長/大根仁/盛田隆二/榎本憲男/中野晴行/村上知彦/栗原裕一郎/遠藤諭/吉村和明/山崎浩一/野崎歓/高橋健太郎/柳下毅一郎/風間賢二/小森収/ヤマダトモコ/小西康陽/ 吉田豪/筒井武文/鏡明/いしかわじゅん (order in appearance)
連 載
とり・みき ANYWHERE BUT HERE
和泉晴紀 イズミくん
和田尚久 夜は夜もすがら
ロゴデザイン:平野甲賀
表紙イラスト:寺田克也